今夜は皆既月食

月食は地球の影に月が入る現象だが、この影はどのくらいの大きさだろう。
太陽光線が平行であれば影の大きさは地球の大きさを底面とする円柱となるが実際は少しだけ複雑になる。
月食時の太陽、地球、月の位置関係をざっくり*1示すと、


太陽の直径をD、地球の直径をd、太陽と地球の距離をRとする。
地球の影は地球から太陽と反対方向にxだけ離れた位置を頂点とする円錐形になる。
これは地球の大気による散乱がなければ太陽の光が届かない本影である。
部分的に太陽が覗く半影は地球を頭頂面とする円錐台となるがここでは考えない。
本影に月全体が入ってしまうと皆既月食となる。
本影の頂点の位置は
x:d=(x+R):Dよりx=R/(D/d-1)となる。
Dを1392000km、dを12756km、Rを150000000kmとすると、xは1387000kmである。
地球と月の距離を384400kmとすると、この3.6倍ほどの距離に本影の頂点があることになる。
月の軌道での地球の影の大きさsはどれくらいになるだろう。
地球と月の距離をrとすると、

(x-r):s=x:dよりs=d(1-r/x)であり9221kmとなる。
月の直径を3474kmとすると、影の大きさはその2.7倍弱ほどになる。
月がすっぽりと入って十分余りある大きさである。
月の公転周期を655.7時間とすると、月の公転速度は時速3683kmであり、
本影の直径に相当する経路を月が通るとすれば、
月の端が本影に入ってから逆の端が本影から出るまでに(9221+3474)/3683=3.45時間かかる。
月全体が本影に入っている皆既月食の時間は(9221-3474)/3683=1.56時間となる。
計算に使った諸量は大まかな平均値であり、軌道は円ではないし、月も本影の中心を常に通ったりはしない。
実際の値としては、今回の月食では、食の始まりから終りまでの時間は3時間半、皆既月食の時間は1時間弱である。

*1:2011-12-11追記。もちろん本当は平板でなく球なのでそれへの接線を考えるべきだがざっくり大して変わらない。