地球の長い午後の微睡みに金環日食の夢を見るか?

いや、もちろん今度の金環食は日本では午前に起きるのであって午後の現象ではない。為念。

地球-月系においては潮汐現象による地球の自転に対する制動に伴い、
地球の持つ角運動量が月へ移っているため、
次第に地球の自転が遅くなり月の公転半径が長くなってきている。
地球の一日が月の公転周期と同じになるまでそれは続き、
その頃には月は今よりもずっと遠いところを回っている。
したがって、皆既日食が見られるのは今のうちである。
地球の長い午後には金環食*1しか見られないことだろう。
まあそれは太陽が老いて巨星化の兆候を見せ始める頃の話で、
しかもそれよりかなり前に太陽放射の増大で地球はHothouse*2どころではなく気温が上昇し住めそうにないが。

個人的にはどちらかというと6月にある金星の太陽面通過の方が関心が高い。
これを逃すと次回は100年以上先のことになる。
また、8月の金星食も天候が許すならそれほど機会の多くない好条件である。
これらは金星による金環日食および月による皆既金星食ということになる。

日食眼鏡は真っ当なものを用意しないと粗悪品では目を傷めることになるので注意。
天体望遠鏡を所持しているなら黒点観測のように投影板に太陽像を投影して観測する方法が危険が少なくなると思う。
ただし、望遠鏡で直接見ようとする危険行為をしないことが前提で。
また、一度にみんなが見ようとする場合、眼鏡なら人数分必要だが、
投影板を使う方法なら一つの装置で複数の人が一度に見られるうえに、
あほのこみたいにくちをあけて上を向いている*3光景に参加する必要もなくなる。

でも観測というよりも単に見たいというだけなら、
一番安全で楽なのはテレビジョンやインターネットリソースだろう。
自分の住んでいるところが不幸にして天候が思わしくなかろうとも、
たぶんちゃんと欠けている太陽を見ることができるはずだ。
しかも、朝忙しくとも、長い午後の後、たとえ日没後であろうとも見られることだろう。

*1:しかも今ほど大きくカバーされることはない

*2:『地球の長い午後』の原題

*3:まあ朝のうちだし短時間なので首が痛くなることはないだろうが