均等でなくても

三つに均等に分散したときのダメージの期待値は分散する前と同じであった。
では三つの財布に入っている額が異なる場合はどうだろう。
少額財布によるダメージは小さくなっても多額財布によるダメージは大きくなるから、
直感的には、落とす確率が額と無関係であるなら均されてダメージの期待値は変わらないだろう。

三つの財布に入っている額をそれぞれA_1A_2A_3円とする。
どれか一つのみを落とす場合はA_1A_2A_3のそれぞれを落とす三通りあり、
その三通りともに事象が発生する確率は\left(1-p\right)^2pである。
ちょうど二つ落とす場合はA_1A_2A_2A_3A_3A_1の三通りがあり、
その三通りとも発生確率は\left(1-p\right)p^2である。
したがってダメージの期待値は、
\left(1-p\right)^3\cdot 0+\left(1-p\right)^2p\left(A_1+A_2+A_3\right)+\left(1-p\right)p^2\left\{\left(A_1+A_2\right)+\left(A_2+A_3\right)+\left(A_3+A_1\right)\right\}+p^3\left(A_1+A_2+A_3\right)
で求められる。
定義からA=A_1+A_2+A_3である。
したがって上式第二項から第四項まではそれぞれ3\cdot\frac{A}{3}3\cdot\frac{2A}{3}Aとそれぞれの確率関連の因子との積となり、
これは、均等に分散した場合の期待値と全く同じ式であり結局ダメージの期待値はpAになる。
つまり均等に分散しても不均一に分散しても直感通りダメージの期待値は変わらない。
分散額を極端にして、A_1=A,A_2=A_3=0としても期待値は変わらない。
有り金を分けることなく一つの財布に入れ、
これとは別に二つの空の財布と一緒に持ち歩いてもダメージは変わらないという当然に思われる結果と無関係ではない。